あちこちの御山で高山植物が良い季節になってきましたね~。
でも、高山植物が美しい季節には、どうしても雨が付きもの。
雨対策をしっかりして高山植物を楽しんで頂きたいと思います。
さて、本日は宮城の登山ガイドJ.miura の「安全登山Web講習会」を開催いたします。
皆様は「レイヤリング」とか「ウェアリング」という言葉をご存知でしょうか?
登山の歩行中は、
標高が上がったり下がったりすることで気温は変化し、
地形や植生によって、暑かったり、寒かったり、風が強かったり、
雨、雪、風、無風、高湿度、強い日射など急激に気象が変化したり、
刻々と変化する自然の中で、「寒い」「暑い」などの身体的ストレスに応じて、衣服を着たり脱いだりして、身体を快適で安全な状況に保つことが重要になります。
ちょっとしたウェアの選択ミスが、山では時に命に関わることもあるのです。
「レイヤリング」とは理想的な「重ね着」の方法であり、「ウェアリング」とは状況に応じたウェアの「着こなし術」のことです。
飯豊で出会った白い「シラネアオイ」6月中旬
~「レイヤリング」についての基礎知識~
一般的には、肌に近いほうから「ベースレイヤー」「ミドルレイヤー」「アウターレイヤー」の三つが基本となりますが、J.miuraの「登山道 三浦流」では「レイヤリング」を以下のように考えています。
注:「レイヤリング(重ね着)」は、常にこれらを全部着るということではなく、状況に応じて「着こなす(ウェアリング)」ということです。
アンダー①
ポリプロピレン素材などで「汗冷え」しないようにするために着用する肌着。
コレを着用することで汗を肌面から離し快適にしてくれます。
アンダー②
化学繊維やウール素材を使用した吸汗速乾性のアンダーウェア。
アンダー➀が吸い上げた汗をさらに吸い上げて素早く乾かします。
基本的に行動中はコレを脱ぐことはありません。
「着こなし」により半袖・長袖を選択してください。
ミドラー①
吸汗速乾素材のジップシャツ・襟付の山シャツなど比較的薄手な素材。
半袖か長袖かはアンダー②に何を着るかにより選択してください。
暑いときには脱ぐこともあります。
*暖かい季節は、アンダー②とミドラー➀を兼用することが多いです。
ミドラー②
保温着。
ダウンJK・化繊JKなどデッドエアと言われる暖かい空気を多く蓄えるウェア。
基本的に行動中に着ることはほとんどありませんが、長い休憩時、ビバーク時、メインの行動着が濡れてしまって使えないときなどに使用する重要なウェアです。
アウター➀
レインウェア。
身を隠す建物が無く、着替えも簡単にできない「山」では、雨・風・雪から身を守る最終シェルターになります。
防水性が高く、透湿性に優れた素材であることが重要です。
注:アウター➀「レインウェア」は、ミドラー②「保温着」とは違います。
両方重要ですので必ず携行してください。
プラスアルファの一着 アウター②
ウインドJK ・ソフトシェルJKなど。
レインウェアを着て歩くと気密性が高いため暑いという場合がよくあります。
そんな時、降雨が無い場合に役立つのが「アウター②」です。
防水性はありませんが、体温の微調整ができ快適に行動することができます。
なるべくコンパクトになるタイプがオススメです。
例えば、「ポールワーズ エピックヘリウムジャケット」は、撥水性があって、薄くて、軽くて、コンパクトになるのでオススメです。
ホールワーズ エピックヘリウムジャケット 8,400円 税別
下半身の「ウェアリング」…上半身のように行動中に頻繁に脱ぎ着することはほとんどないので、上着以上に素材や生地の厚さに気をつかい、季節に合ったものを着用することが大切です。
寒さに関しては「レインパンツ」を積極的に履くことで対応できます。
また「登山用スパッツ」はパンツの裾からの冷気の侵入を防ぎ、下半身の防寒対策にもなりますので常に携行しましょう!
以上、登山道 三浦流「レイヤリング」です。「暑ければ脱ぎ、寒ければ着る」ただそれだけのことですが、着脱のタイミング、スピードは案外難しいものです。
ルートや天候状況を考慮し先読みして「ウェアリング」を決めること、寒暖への耐性を鍛えることなども大切ですよ~
大朝日の「ヒメサユリ」6月下旬
「レインウェア」着用中に歩きながらもできる体温調整のコツ
皆さん感じたことがあるかと思いますが、降雨時にレインウェアを着て歩き始めると、アッという間に体が暑くなってきますよね~。
「暑っついがらカッパ脱ぎでげど、濡れっからなぁ~」
「立ち止まって脱ぐのもめんどくせなぁ~」
なんて、皆さんの心の声が聞こえてきそうです(J.miuraの心の声かっ!笑)。
また、団体行動中には脱ぎたくても脱げないこともよくありますよね~。
暑いときにレインウェアを着たままで歩き続けると、サウナスーツに入っているのと同じような状況になり、熱中症になってしまうことがあるのです。
最新の高額なレインウェアを着たとしても、その性能には当然ですが限界があります。
ところが、ちょっとした工夫でレインウェアの快適さは変わるのです。
衣服内にこもった「デッドエア(暖かい空気)」を逃がし、涼しい空気を取り入れることが体温調整のポイントです。
J.miuraの心の声のように「レインウェア」を着ていて暑いと感じるが足を止めたくないとき、団体行動で脱ぎたくても脱げないときは以下の事を試してみてください!
これを積極的にやるかやらないかで快適さが本当に変わりますよ~!
殻を破って出てきたばかりの蔵王の「タマゴダケ」6月中旬
宮城の登山ガイドJ.miuraの「登山道三浦流 レインウェアの着こなし術」
➀首元のレインウェアのファスナーを下げる。
②首回りのタオルやスカーフなどを外し、衣類のファスナーやボタンを外す。
③フードや帽子をとる。
④腕の袖をまくり上げる。
⑤ザックのウエストベルトやチェストベルトを緩め、ジャケット内の通気をよくする。
⑥ザックのショルダーベルトを緩め、背中の通気をよくする。
⑦レインパンツを履いていて暑いとき、中のパンツのスソをまくり上げる(これは歩きながらはできませんね(笑))
*これが登山道三浦流「レインウェアの着こなし術」です。
「着崩し術」と言った方が正しいですかね?
見た目だらしなくもみえますが…(笑)。
歩きながらでも簡単にでき快適さがアップしますので、ぜひ試してみてください~
最後に、J.miuraから 「レインウェア」に関する三箇条
➀「レインウェア」は降水確率0%でも必ず携行すべし!
雨風雪から身体を守る最終シェルターが「レインウェア」です。
「レインウェア」持たずに登山に行くことは、裸で山に行くようなものだと思ってください。
衣類を濡らすということは裸と同じ、いや気化熱を奪われるので裸よりも辛い状況になりますよ!
②「レインウェア」は素早く着用できるように収納すべし!
ジャケット・パンツ共に、ファスナーは完全に開けた状態で畳み(着やすい)、簡単に取り出せる場所に収納しましょう。
また買い物用ビニール袋をポケットに携行してください。
登山靴にビニール袋をかぶせ、それからレインパンツに足を通すと、汚れずスムーズに足が通りますよ~。
③「レインウェア」を着るときは「中抜き」も考慮すべし!
やや暑い状況でレインウェアを着る場合には「中抜き」、中間着を一枚脱いでからレインウェアを着ると快適です。
特に、急坂が続く登りの場合は暑くなるので「中抜き」を考慮しましょう。
「飯豊 石転び沢」6月中旬
初心者の方にコスパでオススメ!「ホールアース ストレッチレインジャケット&パンツ」
・雨を通しにくい高い防水性能
・透湿性が高く蒸れにくく快適
・立体裁断とストレッチ性があるため、全身とても動きやすい!
・フード、スソにはドローコード付で、雨風をシャットアウト!
・パンツのサイドファスナーは特殊な仕様になっていて、登山靴を履いたままでの着脱が楽々!
*現在、宮城の登山ガイドJ.miuraもコレを使用しております。
私は上下ブラックを選びました!
動きやすく、ムレにくく、雪山低山(泉ヶ岳 1172m)でも問題なく使用できましたよ~。
上下で15,000円(税別)は、お買得な登山用レインウェアだと思います。
初心者の方も、レインウェアは消耗品と考えてガンガン使う上級者の方にもオススメです。
また、通勤・通学にもオススメですね。
ホールアース ストレッチ レインジャケット 9,000円 税別
By 宮城の登山ガイド「J.miura」
J.miuraは「登山道 三浦流」を極めるべく、今日もまた歩き続けています。
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