赤布

アウトドアの知恵

皆様こんにちは、宮城の登山ガイドJ.miuraです。

三月、公私に渡りいろいろと忙しく、なかなか投稿できずにおりましたm(__)m
そんな中でも、今年初めて行った「確定申告」はなかなか手強かった…
計画的にやっていればそんなに難しくはないのですがね。
来年度は余裕を持ってもっと早くから取り掛かろうと思います(>_<)

さて、今回は「赤布(あかふ)」について少し語りたいと思います。
登山道を歩いたことがある方なら、「赤布(あかふ)」を見たことはありますよね。
この「赤布(あかふ)」、昔から登山の際の「道迷い防止対策」として打たれてきました。

しかし最近では、一人一人がGPS(スマホアプリも含め)を携行する時代になりましたよね。
このGPSの出現によって、「赤布を打ちながらの登山」の経験が無い、という方も非常に多くなってきているように感じます。
初級者でも安心して入山できて、現在地確認が素早くできて、道迷いが減ってとても良いことなんですが…

「赤布~こごさ打でぇ~!」

なんていう、古き良き時代の趣が無くなって、ちょっと寂しさを感じたりもするんですよね~(笑)
でもこの「赤布(あかふ)」、決して絶滅したわけじゃあないんです!

GPSの個人携行により「赤布を打つ」登山者は減りましたが、山の現場では「赤布(あかふ)」はまだまだ有効活用されています。
やっぱり現場で「目視」できる目印「赤布(あかふ)」が一番安心できるものだったりするわけです。

ちなみに最近の「赤布(あかふ)」は、赤い色の布よりも「ピンクテープ」の方が多いですね。
ピンクの蛍光色は、自然界には無い色ですからよ~く目立ちますよね。
*私J.miuraは、目印のテープ全般を「赤布(あかふ)」と表現していますのでご了承下さいm(__)m

こちらは、宮城オルレ奥松島コースに打たれている「赤布(あかふ)」です。
「オルレ」のコースでは「赤と青のテープ」をルート上の目印として結び付けています。
この二本のテープを探しながら歩くのが「オルレ」の歩き方です。
地形図が読めなくても、コンパスの使い方が分からなくても、このテープを辿れば大丈夫!
なはず…(笑)
*「オルレ」のように赤布がたくさん打たれていても、道間違いする方はいるそうです。
油断は禁物ですのでお気をつけて。

こちらは「みちのく潮風トレイル」のルート上に打たれている「赤布(あかふ)」です。
ん~、このテープはあまり目立つ色ではないですね~
ちなみに「みちのく潮風トレイル」のルート上は、「オルレ」ほど「赤布(あかふ)」はたくさん打たれてはいません。
地形図やコンパスを駆使して歩く技術も必要になりますので、ご注意ください。

雪山では森林限界を越えると、「赤布(あかふ)を打つ」ための木が無くなるので、このように竹竿を刺しながら歩きます。
GPSがまだ普及していなかった頃、ルートにもよりますが竹竿を50本~80本くらい持って雪山登山をしたものです。
私J.miuraの年代は「赤布(あかふ)を打つ」登山を経験した最後の年代かもしれませんね。

「赤布打ち」はセンスが問われるんですよ~、私はかなり鍛えられました~(笑)
通常「自分で打った赤布は必ず回収する」のがマナーですが、人気のルートや定番ルートでは登山愛好家の為に赤布を残したまま、竹竿を刺したままにしてくれる山もあります(上の画像は5月の栗駒山)。

ところが回収されなかった「赤布」は非常に多く、これが原因での道迷いも多く発生しています。
他人が打った「赤布」を辿っては、どこに連れていかれるかなんでわかりませんよ~

やはり、頼れるのは自分自身です。

登山道の歴史を感じる、苔むした古い赤布。
他人が打った赤布(あかふ)があったら、それが何の目的で打たれているのかを考えることが重要です。

「登山道の為の目印なのか?」

「自分と同じ目的方向に向かっているのか?」

「人気の山では不必要に赤布が打たれて過ぎていて逆に迷ってしまうことも…」

「無積雪期の登山道の赤布と、積雪期バリエーションルートの赤布がある…」

「林業・送電線の管理のための赤布かも…」

「渓流釣り・山菜キノコ採りなど、秘密の場所への入口の目印かも…」

赤布の他にも、道標や踏み跡の確認、人工物の確認、現場地形の確認、地形図やコンパスの利用、植生の確認…様々な情報を収集して、確信を持って目指すべき方向へ歩みを進めていきましょう!

●「赤布」の想い出

ちょっと過ぎてしまったが、3月14日は104歳で大往生した私の婆ちゃんの命日。
婆ちゃんは裁縫仕事がとても上手で、近所の人たちからも着物の作成を依頼されていたと聞いたことがある。私が幼かった頃は、浴衣やお手玉などを作ってくれた。

婆ちゃんの目は難病のために、ほとんど見えなかったんだけれど、それでも長年の勘で上手に縫物をしていた。ただ、小さな針穴に糸を通すことだけは難しかったようで、私がよく通してあげたことを想い出す。

私が雪山登山の準備で赤布を竹竿に結び付けていると、婆ちゃんが赤い布を持ってきてくれたことがあった。
婆ちゃんにもらった「赤布」は残念ながら津波で流されてしまったけど、今でも山で「赤布」を見るたびに婆ちゃんを想い出し守られているような気がしている。

婆ちゃんにもらった赤い布、今考えると何に使っていた生地なんだろう~
まさか、婆ちゃんの「赤ふん」の生地か?
まさか…ね~(笑)

以上、赤布の想い出でした~

ご覧くださいました皆様、ありがとうございました~
それではっ!どこかの山でお会いしましょう!

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